ところが「検察審査会法」の改正によって、来月(5月)から、最終的には検察官に委ねられていた起訴・不起訴の判断について、不服の場合には一般市民で構成される「検察審査会」の判断に拘束されるようにするというのである。
検察審査会を構成するのは、選挙権を有する人の中から無作為に選出された11名の審査員によって組織される。不起訴となった不服申し立て案件を審査し「起訴すべき旨の議決」と議決した後、再度検察が不起訴処分した場合であっても、検察審査会で再度審査し8名以上が起訴議決をすると、検察はその決定に拘束される。つまり、自動的に起訴され刑事裁判が開始されると言うもの。これは平成20年7月4日づけで、内閣総理大臣福田康夫名で公布されている。
この法改正がなぜ医療現場に大きなショックを与えるというのか。先に述べた厚労省で検討されている死因究明事業が実施され、それにより設置された医療安全調査委員会等の調査結果で、「重大な過失」が認められないとの判断が出され、捜査機関への通知が行われなかったとしよう。しかし納得できない患者遺族からの告訴などによって捜査がなされた場合、その結果を検察が不起訴と判断しても、最終的には一般市民からなる検察審査会が起訴するか否かを判断することになってしまうのである。
話が前後するが、現在論議されている「医療安全調査委員会設置法案」に対して反対する医師も多いが、賛成意志をもつ医師もいる。医療安全調査委員会で「医学的に不当な起訴」を防止することができるとの期待が医療界には若干だがある。しかし、多くの医療関係者は、「医療事故調」ばかりに気をとられ、検察審査会法改正の問題の重大性を見落としているのではないだろうか。
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